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我がバイヤー人生、全てを捧ぐ大傑作!!ayU tokiO『恋する団地』

 

 

 

 

 

ayutokio 1

 

 

 

 

6年間という短いのか長いのか、どちらとも言うのが憚られる、僕のレコ屋人生において、こんなにも出会えた喜びを感じられる才能は後にも先にもこのayU tokiO、つまり猪爪東風(イノツメアユ)をおいていないだろう。彼の音楽に出会っての約1年間(とは言え、彼が今まで関わってきた音楽には過去、知らず知らずのうちに出会ってはいた訳だが…)、その音楽は僕の日常に溶け、日々の風景のあちらこちらで輝きを放ち続けているのだ。

 

 

『恋する団地』という素晴らしい作品をリリースしたそんな彼の音楽への個人的で一方的な思いの丈を(さしずめ”ラブレター”みたいなものである)をここに記そう。

 

 

 

 

ayutokyo 2

 

 

 

 

【バイクを愛し、また数々のアーティストに愛されるギター職人(リペアマン)という側面もある猪爪東風】

まずは彼の経歴等を紹介しておくと… 2007年にthe commitmentsというパンクバンドのギタリストとして本格的なキャリアをスタート。(F.Y.P.やCharles Bronson、FRUITYらに影響を受けたストレンジかつローファイなパンク・サウンドであった模様だが筆者は未聴…)カセットテープでのデモ音源リリースや、SEVENTEEN AGAiNのフックアップ等もありI HATE SMOKE RECORDSのコンピレーション『No Matter Where We Go』に参加するものの、2010年夏に解散。(この解散ライブ時に披露した「my room」、「the commitments」の2曲は現在も後述するカセットテープやライブで聴くことが出来る)また同時期にはギターポップバンドPOLTAのメンバーとして活動をはじめる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、活動休止中であったでぶコーネリアスのフロントマン・藤田千秋(現在はジャポニカソングサンバンチのvo/saxでもある)と出会い”ブギウギ・バンド”Acc Jr.を結成、 更に2011年初頭には、音楽前夜社主宰・スガナミユウ(GORO GOLO)によるマジカル・ポップバンドMAHOΩに加入。

当初はドラム、後にギターを担当しながらMAX(Wiennersのvo/key、現在はayU tokiOのサポートメンバーでもある)や、じゅんじゅんらと共に活動、日本語の作詞にも着手し始めた彼は自身のソングライターとしての才能を開花させる。

そして同年末のデモ音源CD-R『摩・歌・不・思・戯ep』が大きな話題を呼び、各方面から多くの賛辞を受ける。

 

そんな中、並行する形でソロ音源をmyspaceで発表、I HATE SMOKE RECORDSのコンピレーション『Theres a place』に参加。

ソロプロジェクトとして現在のayU tokiOを名乗り始めた彼は 更に音楽活動を加速させ、2012年にthe chef cooks meにギタリストとして加入。

数ヶ月間と短い在籍期間ではあったものの、彼らのアルバム『回転体』収録の「四季に歌えば」では作詞者として、他数曲においても共同で楽曲アレンジを担当、下村亮介も絶賛する素晴らしい仕事を残した。

 

 

 

 

 

 

 

 

※ちなみにシモリョーさんが書かれたこの文章にいたく感動しましたのでよかったらこちらも是非読んでみて下さい

http://simoryo.tumblr.com/post/91967228016/ayu-tokio

 

 

the chef cooks me脱退後、遂に1st ソロ音源『NEW TELEPORTATION』を”ソロ音源リリースの発起人”フルヤアキラのsuburbia worksより同年リリースする。

 

 

 

 

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ほぼ全編において一人多重録音、宅録で生まれたこの作品はその愛らしささえ覚えるローファイな音像で、”思春期の少年・少女だけが持つ刹那的な瑞々しさ”を真空パックしたような、胸のトキメキが止まらないポップソング集であり、またChiakizz Club(藤田千秋)が手がけた近未来的な素晴らしいアートワークとカセットテープというメディアであることから、どこか懐かしさが革新性と同居した、レトロフューチャーな素晴らしい作品に仕上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなソロ活動の本格化から間もなくして、MAHOΩは2013年の2月に突然解散する。

 

その後は前述のソロ作をバンド編成で再構築した『NEW TELEPORTATION 2』をリリース。前作の楽曲達がもつ瑞々しさや愛らしさ、懐かしさと革新性、そして珠玉のポップセンスはそのままに今作ではフルート、バイオリン、ヴィオラら管弦楽器含む演奏メンバーを迎え更なる多幸感や感傷性といった感情的躍動と、生身の音だけが持つ普遍的ポップスの強度を手に入れた。

こんなにもドラマチックでロマンティックにアップデートされるとは!という大きな感動!!手放しで賛辞を送ることが出来る、素晴らしい内容だ。

 

 

 

 

ayutokio 4

 

 

 

 

 

※こちらについては過去、こんなことを書きました

 

コチラもお時間あれば… さてさて、前置きが長くなってしまいましたが、そんなayU tokiOの初CD作品『恋する団地』は去る7/16にリリースされた。

まずはじめに断言させて頂くと、今作こそ今年1番のポップミュージックの決定打であり、テン年代以降のポップミュージックにおける最大の希望が詰まった大傑作である。

 

 

 

 

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ベッドタウンから飛び出し、街を行き、都会に生きる。そんな男の子と女の子たちの特別な感情や瞬間、そして移ろい変わる四季の色や匂い。リアリティを失わないまま、日々の営みがドラマチックに彩られた五篇の物語。 音楽の根幹的な部分においてはブライアン・ウィルソンやパディ・マクアルーンらの狂人的なまでのポップソングへの執念、バート・バカラックやロジャー・ニコルスらの親しみやすさの中に複雑なリズムパターンを織り込んでいくユーモア、筒美京平が生んだ歌謡曲のゴージャスな躍動感や、小林泉美らによる昭和のアニソンのキッチュさ等…挙げていけばキリがない程に深く広いバックボーンを感じさせる。

更にはフォーキーな歌心も持ち合わせており、それでいてパンク/ハードコアが出処となればこれはどうして、その音楽性を一言で言い表すことは一筋縄にはいかない。

しかし彼は、そんな無数の”点”を”線”にし、描くような表現力、編集感覚と審美眼を持っていた。そしてなにより”ポップソング”へ昇華する気概があるのだ。 二十数年前の”渋谷系”というムーヴメント以降、脈々と受け継がれてきたその血脈を絶たせることなく、現代的にアップデートした”後継者”とも言えるが、ここではあえて2014年の感性で現行インディーシーンとも同調した”新しいポップミュージックの王道を敷いた”と記したい。

今作のサウンドもギター、ベース、キーボード、ドラムに加えてフルート、バイオリン、ヴィオラの管弦楽器も含んだもので、縫い目なく”その瞬間に鳴るべき音”が飛翔しては、その煌きを振りまいていく。プログレッシヴなまでに緻密なアレンジが、とびきりキャッチーで豊穣なメロディに溶け込んでいく。上質なシャツをさらりと着こなすような、飄々とした美しさを纏って。

 

 

ここでは更に、彼の作詞家としての 素晴らしい才能にも触れておきたい。 「秘密の中へ ボクも一緒について行っても良いかな」と印象的なフレーズからはじまるリード曲『恋する団地』はまさにその才をいかんなく発揮した作品である。

 

 

 

 

 

 

 

 

僕自身、何度も涙した「21世紀の世界はこんなに素敵さ」という奇跡的な輝きに満ちたライン。ついさっきまで素晴らしいと思えたものが、突然に輝きを失ってしまうようなグラついた価値観、気まぐれで不安定な感情を抱えている僕らにとって、こんなにも希望に満ちた言葉はかつてあっただろうか?

それでいて美しい色彩感覚と、いやらしさのない韻の踏み方でもって、しなやかに練られた言葉が悲哀も歓喜も掬い取る。なんて美しいのだろう。他の曲についても語りたいことは山ほどありますが、あとは出会ってみて確かめて下さい。百聞は一聴にしかず、というところでしょうか…

 

 

 

 

写真 (1)

 

 

 

 

最後に「なんて音楽は素晴らしいのだろう」という月並みな表現で終えることをお許し頂きたい。

空腹を満たすわけでもなく、華やかなワンピースドレスのように着飾ってくれるわけでもなく、「音楽」はただそこで僕たちの鼓膜を揺らす振動だ。

それでも「音楽」は日々、鳴り続ける。恋をして、たまの美味い酒を飲む。恋が終わり、たいして美味くもない煙草に火をつける。誰かの死に悲しみ、誰かが生まれ喜ぶ…そんな大げさなものでなくとも、友人たちと過ごす休日も、仕事で疲れた平日も、僕たちの日々のそこかしこに「音楽」は鳴っているのではないだろうか?

そして「音楽」はアナタが求めた時に、アナタだけの為にその頭の中で鳴り続ける。その 時にそれはきっとアナタだけの「名曲」になり、日々に溶け込んでいく…

 

 

ayU tokiO『恋する団地』。この作品に収められたポップソングたちが、皆様にとって、そんな「名曲」になることを心から祈って!

そう、やっぱり音楽は素晴らしい!!

 

 

 

 

 

 

 

 

そして来たる、8/16(土)16:00からタワーレコード渋谷店の1F特設ステージにて切望していたインストアライブをやって頂きます!バンドセット!観覧は無料、CDご購入の方にはオリジナルステッカーもプレゼントします☆

(詳細はコチラ)

 

夏の真ん中で出会って下さい!ご来店、心からお待ちしております!!!

 

 

 

 

ライター / 須藤 朋寿

【担当フロア】 3F 「WONDER」
【担当ジャンル】 J-POP/J-INDIES
【得意ジャンル】 国内インディー/うたもの/和モノ
【血液型】 O型
【出身地】 青森県
ジーパンはLevi'sよりLee派。甘党。