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連載:渋谷店クラシック・コーナー「今月のオススメ」 (記事数 / 22)

目も耳も大満足。ティーレマンのブラームス

 

 

 

パレット

 

 

 

CDとDVD、どちらが主役だろう。

 

ティーレマン&シュターツカペレ・ドレスデンによるブラームスの交響曲全集&協奏曲集。交響曲はCD、協奏曲はDVDが収められている。後者はヴァイオリンのバティアシュヴィリが弾くヴァイオリン協奏曲、ピアノのポリーニが弾くピアノ協奏曲2曲を収めたライブDVD。ティーレマンには申し訳ないが、このDVDの魅力は交響曲を超えてしまうかも。この形態での発売を許可したティーレマンは実に懐が大きい。

 

DVDの協奏曲集はすべて抜粋ではなく全曲を収録!

 

ヴァイオリン協奏曲は人気女流ヴァイオリニストのバティアシュヴィリの迫力と繊細さが共存した名演。凛とした立ち姿も絵になり、映像ならではの楽しみがある。

 

2曲のピアノ協奏曲には巨匠ポリーニが参加。彼の映像はとても少なく、得意のブラームスの協奏曲2曲が記録されたのは嬉しい。さすがに年齢を感じさせる登場シーンにびっくりするが、ピアノを弾きだすと俄然オーラが出てくる。達観した静かな音楽は第2番でより発揮されている。

 

 

 

DVD 

 

 

 

叩き上げのオペラ指揮者であるティーレマンは、ソリストに合わせるのが実に巧い。オペラでは時にオーケストラの音量が大きすぎるため、歌が聴こえないときがあるが、ヴァイオリン、ピアノ相手なら心配なし。ただの伴奏でなく、ソリストに寄り添いつつも、主張ある緩急ある音楽を創り、大曲にうねりと流れを生み出している。映像ではソリストをじっくり見ながらオーケストラに細かい表情づけしている姿がしっかり確認できる。

 

ティーレマンは交響曲ではよりロマンティックで、うねりのある音楽を貫く。ドレスデン・シュターツカペレの指揮者となって以降、このオーケストラの柔らかで、凛とした音を引き出しての演奏はより熟した音楽になってきた。このCDは、久しぶりにブラームスらしいブラームスを堪能できる。

再録音の第1番は、第4楽章主題を引き出す前の時間が静止したような深い沈黙が何とも言えぬ異様な空気を生み出している。そして、第4番の激情のような第4楽章。テンポの速さに驚かされたが、フィナーレへの高揚感は見事だった。

意外にもドレスデン・シュターツカペレによるブラームスの交響曲全集録音は、記憶が正しければ、1970年代のクルト・ザンデルリンク指揮のもの以来と思われる。そこでザンデルリンク盤を久しぶりに聴き直してみた。ティーレマン盤は、音色こそ明るく感じるが、緻密なアンサンブル、リズムの弾力など伝統は今も脈々と受け継がれていることを感じる。ところで、この録音はDVDとブルーレイで発売済みの同じティーレマン指揮のブラームス交響曲全集とは別音源で、中でも1番と3番は、映像がNHKホールでの日本公演ライヴであったのに対し、このセットは日本公演直前のドレスデンでのライヴ録音が収められている。

 

この20年で様々な作品へのアプローチが出現した。作曲家の意図する音を実現する目標は理解しつつも、高速・軽量・標準化する演奏に疑問を持つ聴き手が多いこともまた事実だ。世界のティーレマンへの期待はその裏付けと思う。このブラームスは期待に応えるに充分な内容を誇っている。

 

 

 

028947927877

Brahms: Symphonies, Piano Concertos, Violin Concerto [3CD+DVD]

Christian Thielemann 、 Staatskapelle Dresden 、 Maurizio Pollini 、 Lisa Batiashvili

4792787

 

 

 

ライター / 雨海秀和

【担当フロア】7F "HOME" CLASSICAL
【担当ジャンル】 CLASSICAL
【血液型】A型
【出身地】神奈川県

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