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“VINTAGE COLLECTION +plus”特別編~クラウディオ・アバド ロンドン・イヤーズ発売!

 

 

お客様に好評頂いているタワーレコードのVINTAGE COLLECTION。今回はクラウディオ・アバドの録音をまとめて紹介することになりました。一番喜んでいるのはお客様ではなく私かもしれません。

 

 

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自他とも認めるアバドの大ファンで、彼の録音は全部聴いているぞ、と自負していました。しかし、今回これら録音を改めて聴いてみて、新発見の数々に驚きっぱなしです。鮮明な音質を再現できたことで、アバドの凄さがより伝わってきました。2014年に亡くなって以来、数々のアーティストによる素晴らしい演奏に出会いつつも、アバド不在の残念な気持ちが続く中、それを癒してくれる復刻でした。

 

ストラヴィンスキーは「プルチネルラ」「ペトルーシュカ」の抜群のスピード感と切れ味、色彩感が絶品です。ロンドン交響楽団の管楽器が大活躍するのも爽快!バルトークでの音楽の突進ぶりも見事。どんな場面でもメロディーを浮かび上がらせて、心地よく歌わせる技は天下一品です。「火の鳥」以外は録音後のアバドのレパートリーから外れてしまいました…。その意味でも貴重な録音ばかりです。

 

国内初CD化となるベルリオーズは、巨大なオーケストラと合唱団が織りなす音の建造物のような作品です。アバドは驚異的な集中力と緊張感で、一気に聴かせます。彼には珍しい、なりふり構わぬ、力のこもった熱演です。ECユースオーケストラが頑張ります。これは、ヨーロッパ室内管弦楽団、マーラー室内管弦楽団、ルツェルン祝祭管弦楽団に通じる若手オーケストラです。これまでの都市に根付いたオーケストラ活動に風穴を開ける、より自由で国際的な21世紀型のオーケストラ活動の萌芽がここにあります。アバドはその歴史の転換をそっと導いている存在といえるでしょう。「テ・デウム」はアバドお気に入りの作品だったようで、ウィーン・フィル、ベルリン・フィル(本拠地フィルハーモニーが火事になったときにリハーサルを予定していたのがこの作品)、モーツァルト管と晩年まで演奏していました。

 

「展覧会の絵」はムソルグスキーならではの原色の生命力を表現した演奏です。ゆったり目のテンポと研ぎ澄まされた音色は、録音と同じ時期ロンドン響に客演し、日本公演も行ったチェリビダッケの残像かしら…と勘ぐってしまいます。後年のベルリン・フィルとの録音によって、忘れられてしまった不運な名盤です。

 

「ダフニスとクロエ」はロンドン響とのラストレコーディングです。ウィーン国立歌劇場音楽監督に専念する決断をしたアバドの吹っ切れたような勢いが聴きどころです。この作品はいわゆる第2組曲は、アバドのレパートリーとして、ベルリンでも何度も演奏されました。

 

最後にチャイコフスキー。ポゴレリチは数年前の雑誌のインタビューで、共演したい指揮者としてアバドを挙げて、熱っぽく共演のラヴコールを送っていたのが記憶にあります。その二人の共演の協奏曲は、ほれぼれとするかっこよさ、力強さに満ちた名演です。冒頭のホルン、ピアノの撃ち込みを聴くだけで大満足!「小ロシア」は駆け出しの頃のアバドの知られざる名演です。クレンペラー存命中のニュー・フィルハーモニアが若いアバドにしっかり応えて演奏しています。

 

 

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以上、駆け足で紹介しました。アバドファンも、アバドに懐疑的な方も、きっと楽しめると思います。

次に出るアバド録音は何だろう…と欲がでる今日この頃です。

 

 

 

ライター / 雨海秀和

【担当フロア】7F "HOME"
【担当ジャンル】 CLASSICAL
【血液型】A
【出身地】神奈川県

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